日本国内における外国人労働者の数と推移
日本の外国人労働者の数は増え続け、厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」によると、
2020年10月末までにおいて、日本国内の外国人労働者数は「1,724,328人」となっていました。
外国人労働者を雇用している事業所数は「267,243か所」となっており、外国人労働者数の数と
ともに過去最大の数値となっていました。
2013年以降は右肩上がりの状態となっていましたが、2019年~2020年にかけては、新型コロナ
ウィルスの影響もあり、伸び率は前年よりも低くなっていますが、それでも外国人労働者の数
自体は増加しています。
日本の労働者問題と外国労働者の需要
増えていく外国人労働者数の一方で、日本では少子高齢化による人手不足で、多くの企業が従業
員の採用・雇用に苦戦しており、その対策の一つとして「外国人労働者」の受入れが進んでいます。
外国人労働者の受入れは、日本人対象では採用することが難しい地域や職種で従業員を確保できた
り、訪日観光客への対応ができたりするメリットがある一方、文化ギャップによるトラブルなどの
デメリットもあり、それらを含めて外国人の受入れ検討していくことが重要です。
外国人を雇用している事業所は2018年10月時点で全国で172,798カ所あります。(届出を出してい
る事業所数)この数は、2017年対比で20,537カ所(13.5%)増加しています。
また、 外国人労働者を雇用している事業所全体の56.7%が「従業員数30人未満」であり、外国人
労働者全体の1,083,769人のうち34.0%(およそ368,000人)を占めています。
外国人労働者受け入れ4つのメリット
■メリット1 人材不足の解消・若い人材の確保
一番に考えられるのが、人手不足の解消です。採用が難しい職種でも、適した人材を採用する可能
性が高まります。現在、国内で人材が不足しがちな介護や建設、飲食業といった職種では、思う様
に求職者が集まらず採用コストがかかる事の他に、現場の社員の負担が増えることで日本人社員の
定着率が低下するなどの影響があります。
あまり知られていないのですが、外国人労働者に使える助成金制度があります。国・地方自治体と
幅広くあるのでうまく活用しましょう。
■メリット2 訪日外国人への多言語対応
外国人労働者は日本語の他に、英語や母国語を話せるなど語学レベルの高い労働者を雇うことがで
きます。それにより、訪日外国人への対応力を高めることができます。現在は新型コロナウイルス
の影響で旅行客は入国できませんが、アフターコロナ・ウイズコロナ時代においては、また以前の
状態に戻ることが予想されます。需要はさらに高まっていくでしょう。
■メリット3 社内活性化(業務プロセスの見直し)
外国人のひたむきに働く姿勢や学ぶ姿勢は周りの日本人社員にとっては刺激になり、「教える」た
めに業務プロセスの再整備やマニュアル整備など、無駄無駄が発見され改善・見直しが図れるなど
社内活性化の可能性もあります。加えて、外国人労働者は地方に偏見がないため、高齢化が進む農
業は深刻な労働力不足を補う存在であり活躍が期待されています。
■メリット4 海外商品・海外進出の足がかり
海外商品・製品のサービス展開、海外進出を考える企業にとって、現地の法律や習慣、言語の壁は
大きな問題です。もし社内に進出を予定している国をよく知っている外国人従業員がいれば、海外
進出の大きな助けになるかもしれません。数年先で海外商品やビジネスの展開を検討している企業
は、関連する国の言語や習慣に精通している外国人が必要となります。
外国人労働者受け入れ4つのデメリット
■デメリット1 文化や習慣の違いがある
善悪や価値観の基準が違うため、悪気がなくともお互いに不愉快になってしまうこと、場合によっ
ては法に触れてしまうこともあります。特に日々の食生活について、宗教についてと日本では意識
しない事があります。事前にお互いの文化について理解を深めることが大切となります。
■デメリット2 言語、コミニュケーション
外国人労働者の日本語レベルによっては、意思疎通が取りにくいことがあります。日本語レベルの
問題だけではなく、日本の常識を知らないため日本人同士だと苦もなく伝わることでも簡単に伝わ
らない事が多くあり、社内の人間関係を悪くさせてしまいます。わかりやすい指示の仕方や心配り
を徹底するなど、社内受け入れ体制の準備が必要になります。
■デメリット3 外国人労働者のルールと在留資格などの手続き
海外から人材を受け入れる場合、雇用に関する手続きや、就労のルール、VISAの発行や必要書類に
ついて申請をする必要があり、外国人雇用に関する知識が必要です。社内での対応が難しい場合は、
外国人材の紹介専門会社や、外国人の雇用に詳しい行政書士に相談することで解決できます。
■デメリット4
採用に伴い、引っ越しが必要な場合など、日本人にとっては簡単なことでも日本の常識を知らない
ため、自分でできる事が少ないと感じる場合があります。住居の物件探し・契約や生活インフラの
開設、必要な書類の準備などや転居が必要ない場合でも、金銭的な補助だけでなく、社内・生活面
でのサポートなど入社前・入社後に安心して相談できる体制が必要です。
まとめ
外国人労働者の受け入れは、人手不足を解消したり、採用コストを改善したりする効果が期待でき
ます。一方で、コミュニケーションの取りにくさをストレスに感じる場合もあり、受け入れの現場
負担が増えすぎることにならないかといった不安要素があります。企業として短期的ではなく長期
的に一緒に働いていく意識を社内に周知していく必要があります。また外国人でも会社の利益に貢
献できる人材は日本人と同様に評価し、それを明確化することも重要です。