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高年齢者雇用安定法の改正概要①~2021年4月1日から何が変わったのか~

飯塚匡春

2021.09.14

今回から複数回にわたり高年齢者雇用安定法について解説をしてきたいと思います。
2021年4月1日に改正高年齢者雇用安定法は施行されましたが、今回はその改正内容をご説明させていただきます。

■ 高年齢者雇用安定法とは

高年齢者雇用安定法とは、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。

■ 改正前と改正後で高年齢者雇用安定法は何が変わった?

一言でいうと、65歳までの雇用確保の義務付けに加え、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。まず、65歳までの雇用確保についてですが、具体的に以下のことを指します。
〇 60歳未満の定年禁止
→事業主が定年を定める場合は、その定年年齢を60歳以上としなければなりません。
〇 65歳までの雇用確保措置
→定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
① 65歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入
※ 継続雇用制度の適用者は原則として希望者全員です。

 

次に、今回の改正では65歳までの雇用確保の義務付けに加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務が新設されました。

① 70歳までの定年の引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
※ 他の事業主によるものも含む
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

65歳~70歳までは「雇用」の確保ではなく、「就業機会」の確保となっているため、④と⑤の創業支援等措置が認められています。この高年齢者就業確保措置の努力義務を負うのは、定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主や65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主などになります。

■ 統計調査から紐解く高年齢者雇用の現状について

2021年1月8日に厚生労働省から令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果が公表されました。まず、65歳までの雇用確保措置の内訳をみると、「継続雇用制度の導入」が76.4%、「定年の引き上げ」が20.9%、そして「定年制の廃止」が2.7%となりました。次に、66歳以上働ける制度のある企業の状況については、33.4%の企業が何らかの形で、66歳以上働ける制度のあると回答しました。この中で一番多かった回答は継続雇用制度の導入でした。

次回以降は、高年齢者就業確保措置における留意点、創業支援等措置とは何か、65歳超雇用推進助成金などについてご説明させていただきたいと思います。

【参考URL】
・高年齢者雇用安定法改正の概要~70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずるべき措置(努力義務)等について~(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf
・報道発表資料『令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果を公表します』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15880.html

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