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社会保険労務士

改正高年齢者雇用安定法について

飯塚匡春

2021.08.18

法改正

高年齢者雇用安定法の改正

こんにちは。社会保険労務士法人ADEPT代表のの飯塚でございます。

令和3年4月1日から高年齢者雇用安定法が改正されます。

今回はその中の『創業支援等措置』についてお話しさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

(改正前)
高年齢者雇用確保措置(義務)
① 60歳未満の定年禁止
② 65歳までの雇用確保措置
a.65歳までの定年引き上げ
b.定年制の廃止
c.65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)導入

(改正後)
高年齢者就業確保措置(努力義務)
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業詳

65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、
高年齢者就業確保措置として、いずれかの措置を講ずる努力義務が新設されました。
創業支援等措置は上記④⑤にあたり、雇用によらない措置を指します。

70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入について

a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
「社会貢献事業」とは不特定かつ多数の者の利益に資することを目的とした事業の
ことです。特定の事業が「社会貢献事業」に該当するかどうかは、事業の性質や内容
等を勘案して個別に判断されることになります。

b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
「出資(資金提供)等」とは自社以外の団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度を選択する場合、自社から団体に対して、事業の運営に対する出資(寄付等を含む)や事務スペースの提供など社会貢献活動の実施に必要な援助を行っている必要があります。
他の団体でこの措置を行う場合、自社と団体との間で、当該団体が高年齢者に対して社会貢献活動に従事する機会を提供することを約する契約を書面により締結します。

 

 

創業支援等措置を実施する際の手続き

1.計画を作成する
計画記載事項
(1) 高年齢者就業確保措置のうち、創業支援等措置を講ずる理由
(2) 高年齢者が従事する業務の内容に関する事項
(3) 高年齢者に支払う金銭に関する事項
(4) 契約を締結する頻度に関する事項
(5) 契約に係る納品に関する事項
(6) 契約の変更に関する事項
(7) 契約の終了に関する事項(契約の解除事由を含む)
(8) 諸経費の取り扱いに関する事項
(9) 安全および衛生に関する事項
(10) 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
(11) 社会貢献事業を実施する団体に関する事項
(12) (1)~(11)のほか、創業支援等措置の対象となる労働 者の全てに適用される事項

2. 1.の計画について過半数労働組合もしくは過半数代表者の同意を得る

3. 2の同意を得た計画を労働者に周知する

4. 制度導入後に個々の高年齢者と業務委託契約や社会貢献活動に従事する契約を書面により締結する
・書面には計画に記載した事項に基づいて決定した、個々の高年齢者の就業条件を記載する
・ 契約を締結する高年齢者に1.の計画を記載した書面を交付する
・ 次の(ア)~(ウ)を十分に説明して本人の納得を得るように努める
(ア)労働基準法等の労働関係法令が適用されない働き方であること
(イ)そのために1.の計画を定めること
(ウ)創業支援等措置を選択する理由

労働者性に関する留意事項

創業支援等措置は雇用によらない措置であるため、個々の高年齢者の働き方について、労働者性が認められるような働き方とならないように留意する必要があります。

創業支援等措置による就業は、労働関係法令による労働者保護(労災保険など)の適用がありません。上記以外にも安全確保に関する留意事項、契約に基づく業務に関して、高年齢者から相談があった場合には誠実に対応する

等の留意事項があります。高年齢者就業確保措置のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じていただくことが望ましいです。

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