マタハラとは?男女雇用機会均等法で義務付けられていること
妊娠・出産において嫌がらせを受ける「マタハラ(正式名称:マタニティハラスメント)」。
新聞やニュースでも取り上げられることが増え、依然として相談件数も非常に多いままです。
今回は、「マタハラ」がどのように定義されているのかについて解説いたします。
マタハラとは?
マタハラとは「マタニティハラスメント」の略語です。 妊娠・出産・子育てをする女性が職場において、それを理由として解雇や減給、嫌がらせなど、不当な扱いを受けることを指します。
平成29年1月に、「男女雇用機会均等法」が改正され、法律上、企業に、「マタニティハラスメント防止のために必要な措置」(マタハラ防止措置)をとることが義務付けられました。
しかし、厚生労働省による「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施行状況」によると、妊娠・出産に関するハラスメントやセクシャルハラスメント、それを理由とする不利益取扱いに関する相談は19,595件にものぼっています。
マタハラの定義
そもそも「ハラスメント」という言葉は、その内容が明確に定義づけられているわけではありません。「発言者の意図に関係なく相手に不快な思いをさせたり、尊厳を傷付けたりすること」全般が、ハラスメントとみなされます。
◆「ハラスメント」と「違法行為」の区別
「ハラスメント」
妊娠・出産、育児休業に関して上司や同僚により就業環境を害される行為のこと。
事業主にはこれの防止対策を講じることが義務づけられている。
「違法行為」
事業主が妊娠・出産など理由とする解雇や降格などの「不利益取扱い」をすること。
これらは男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法で禁止されている。
違法となる「不利益取扱い」
ハラスメントと区別される「不利益取扱い」とは、先述の通り、妊娠・出産などをきっかけとした(と受け取れ)ることを理由として労働者を解雇・減給・降格することです。
◆不利益取扱いに当たる事象
・妊娠、出産したこと
・産前、産後休業を取得したこと
・妊娠中の時差出勤や深夜業免除を受けたこと
ただし、状況によっては例外とみなされ違法とならない場合もあります。
例として、以下のケースが挙げられます。
◆違法とならない場合
①業務上の必要性から「不利益取扱い」をせざるを得ない場合、かつ、
②業務上の必要性が「不利益取扱い」により受ける影響(※)を上回ると認められる場合
ここで言う「業務上の必要性」とは、会社の業績悪化や本人の能力不足・成績・態度不良などがあった場合を指します。
※不利益取扱いや、不利益取扱いの契機となった事由に、有利な影響がある場合(例:本人の意向に沿った業務負担の軽減等)は、それも加味した影響。
まとめ
前述の通り、マタハラを「対策」することは、法律によって事業主に義務付けられています。
具体的に言うと、「男女雇用機会均等法育児」「介護休業法」により、マタハラ防止措置を講じることが義務付けられています。
女性労働者だけでなく男性労働者も含めて、妊娠出産することや、産休・育休などの制度を利用することに対して、上司や同僚から嫌がらせを受けないよう、社内的な対策する必要があるのです。
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