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社会保険労務士

労働保険の年度更新の時期です。やり方と注意点を解説ライティングシート

飯塚匡春

2025.06.13

1. はじめに

労働保険は年度更新の手続きが必要です。

労災保険については労働基準監督署で、雇用保険についてはハローワークで手続きを行います。加入時にはその年度分の概算保険料の納付も必要です。
一元適用事業(農林漁業・建設業以外)では労働保険料の申告・納付をまとめて行いますが、二元適用事業(農林漁業・建設業)は労災保険料と雇用保険料を分けて、それぞれ申告・納付します。

労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年ごとに計算します。労働保険料は毎年申告・納付する必要があります。ただし加入した年の労働保険料は加入時に納付します。納付する保険料はあくまでも概算の金額ですので、年度末に保険料が確定した後、精算する手続きが必要です。
労働保険料は賃金総額をもとに計算して出しますので、3月の年度末にならないと確定しません。
ここで、前年度の保険料を精算し、今年度の概算保険料を納付するための手続きが、この労働保険の年度更新という手続きになります。労働保険に加入している限り、毎年更新手続きを行わなければなりません。毎年6月1日から7月10日までの間に行います。

手続きが遅れると追徴金を課される可能性も

  1. 手続きについて意外と忘れがちになりますが、毎年緑色の封筒が届きます。期限までに手続きを行わなかった場合、政府が保険料・拠出金の額を決定し、確定保険料に対し10%の追徴金になる場合がありますので、注意が必要になります。

労働保険の年度更新手続きの流れ

  1. 労働保険の年度更新の期日までのリミットは、通常は40日ほどです。これは4月1日~7月10日までの期間になります。期限に遅れないようにスムーズに手続きを完了できるよう、大まかな流れを知っておきましょう。

    ◆緑の封筒の申告関係書類が届く
    年度更新に必要な書類は、毎年5月下旬頃、労働局から企業様宛に届きます。送られてくるのは、次のような書類です。

    ・労働保険 概算・増加概算・確定保険料 石綿健康被害救済法 一般拠出金申告書
    ・確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表
    ・申告書の書き方
    ・保険料率表
    申告書等が届いたら、印字されている保険料率などに間違いがないかを確認しておきましょう。

賃金集計表の作成

賃金集計表は、保険料計算の基礎となる賃金総額を集計するために使います。申告書の基礎となるものですが、提出する必要はありませんので、事業所で保管しておきましょう。

賃金集計表を作成する際には、厚生労働省から提供されている「年度更新申告書計算支援ツール」を活用すると便利です。Excelフォーマットに入力していくだけで自動計算され、申告書記入イメージも見ることができます。

労働保険の年度更新の注意点

よくあるのが賃金に含まれるものと含むものを明確にする
労働保険料は賃金をもとにしてます。賃金には、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、労働に対して支払われるすべてのものが含まれます。
賃金に含まれないものは、役員報酬、傷病手当金、災害見舞金、解雇予告手当などです。出張旅費や宿泊費も賃金には含まれません。給与については支給日ではなく締日を基準にします。つまり、3月末締4月払いの給与は3月分として計算する必要があります。

申告書の記入・申告書の提出・保険料の納付

まずは、賃金集計表をもとに申告書に労災保険、雇用保険それぞれの対象賃金等を記入します。申告書の上段は前年度の算定基礎額と「確定保険料」を、下段は今年度の見込額と「概算保険料」を記入し、「期別納付額」欄が差引した今期の納付額になります。保険料は一括納付が原則ですが、概算保険料が40万円以上の場合には3回の延納(分割納付)が可能で、多くの企業さまは分割納付を活用してます。
申告書の提出や保険料の納付ができるのは、以下のようなところです。

金融機関
銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関で、申告書の提出と保険料の納付をまとめて行うことができます。注:金融機関で保険料の納付だけを行うことはできますが、申告書の提出だけを行うことはできません。

都道府県労働局または労働基準監督署
管轄の労働局または労働基準監督署の窓口で、申告書の提出・納付ができます。申告書だけ提出し、納付は金融機関でもかまいません。口座振替を利用する場合には、申告書は労働局または労働基準監督署に提出が必要です。

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