カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?
現代の職場で深刻化している課題の一つが、「カスタマーハラスメント(略称:カスハラ)」です。カスハラとは、顧客・利用者などからの不当なクレームや暴言、威圧的な言動などを指し、従業員の心身に大きな負担を与えるハラスメントの一種です。
特に接客業や医療・福祉・教育業界などでは、顧客対応中のストレスが離職原因となるケースも増加。企業として従業員の安全を守り、生産性を維持するためにも、カスハラ対策は喫緊の課題といえるでしょう。
東京都が企業を支援!「カスタマーハラスメント対策推進奨励金」
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東京都は、都内中小企業等がカスハラ対策に取り組むための支援制度として「カスタマーハラスメント対策推進奨励金」を実施しています。
これは、最大50万円までの経費補助を受けられる制度で、カスハラ対策にかかる研修費用や規則整備費用などが対象になります。
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▷ 奨励金のポイント
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支給額上限:最大40万円(中小企業等)
補助率:通常:80%、小規模:100%
対象事業者:都内の中小企業・個人事業主等
対象取組例:就業規則改定、研修、相談体制
対象となる主なカスハラ対策取組とは?
① 就業規則・マニュアルの整備
– カスハラに関する行為の定義と禁止規定の明記
– 被害発生時の社内対応フロー
– 顧客への注意喚起文の整備(ポスター・POPなど)
② 社内研修の実施
– カスハラ対応力を高める接遇マナー・対応研修
– 外部講師(弁護士・社労士など)による対処法セミナー
– 管理職向け「カスハラ発生時の初期対応」教育
③ 相談体制・被害者支援体制の構築
– 社内相談窓口の設置
– 被害者のメンタルケア支援体制
– 定期的な従業員アンケート実施による実態把握
奨励金の申請方法・スケジュールは?
2025年度版の詳細は近日中に発表予定ですが、過去実績に基づく流れは以下の通りです。
▷申請から支給までの流れ
- 事前相談・計画書提出(東京都労働局へ)
- 審査・交付決定
- 対策の実施(研修・規則改定など)
- 実績報告書の提出
- 奨励金の支給
申請前に取組を開始した場合は対象外となる点に注意が必要です。必ず「交付決定通知」を受けてから、取組を開始してください。
なぜ今、企業がカスハラ対策をするべきなのか?
– 離職率の上昇防止:従業員の離職理由の上位に「顧客対応のストレス」が挙がっています。
– 企業イメージ向上:カスハラ対策を公表することで、安心して働ける企業としてのブランド力が高まります。
– トラブル抑止効果:明文化された対応ルールやポスター掲示により、顧客行動が変化する実例も。
実際に、奨励金を活用した企業の多くが「従業員満足度の向上」や「顧客対応の効率化」という成果を得ています。
よくある質問(FAQ)
Q:カスハラ対策は義務ですか?
A:現時点では法的義務はありませんが、労働安全衛生法に基づく「職場環境の整備義務」に抵触する恐れもあるため、対策は強く推奨されます。
Q:1人法人や個人事業主でも申請可能ですか?
A:常時雇用者が2名以上いない場合は対象外となります。
Q:既に規則を整備しています。研修だけでも補助対象ですか?
A:はい、研修のみの実施でも対象となります。
まとめ|今すぐ始める、カスタマーハラスメント対策
カスハラ対策は、従業員の安心・安全を守り、企業の成長を支える重要な取り組みです。
東京都の「カスタマーハラスメント対策奨励金」を活用することで、費用負担を抑えながら、実効性ある対策を講じることができます。
✅ 就業規則の改定
✅ 社内外研修の実施
✅ 相談体制の整備
これらの取組を組み合わせ、従業員が安心して働ける職場環境づくりを実現しましょう。