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社会保険労務士 行政書士

社員の感染時に企業は?

飯塚匡春

2021.08.22

人事労務管理

従業員が新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触者になったりした場合の、企業の対応方法についてまとめた。

 

 新型コロナウイルス感染症が拡大した影響により、企業だけでなく従業員の方々も大変な思いをされている。そこで、従業員が新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触者になったりした場合の、企業の対応方法についてまとめた。

 ①社員が感染した場合――新型コロナウイルス感染症は「指定感染症」と定められており、都道府県知事が「入院勧告」、「就業制限」を行うことができる。

 都道県知事が感染した社員に「就業制限」を通知した場合、会社は休業させることとなる。この場合の休業は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるので、休業手当の支払いは必要ない。

 ②社員に感染の疑いがある場合――厚生労働省は感染拡大防止のため休業を推奨しているが、自宅待機や年次有給休暇を取得させることもできる。

 発熱などの症状のために、社員が自主的に休む場合は病欠として扱われ、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき休業手当は不要である。

 反対に、会社が発熱などの症状がある社員を一律に休ませている場合は、休業手当を支払う必要がある。

 ③社員が濃厚接触者となった場合――会社は当該社員に対して、感染者と最後に接触した日から14日間の出勤停止を命じなければならない。

 もし、在宅勤務が可能であれば、社員に在宅勤務をさせ、通常どおりの賃金を支払う。しかし、在宅勤務が不可能な職種の場合、自宅待機により就労できない状況は「不可抗力に休業」となるため、休業手当の支給は不要と考えられる。

 一方、在宅勤務が可能ながら、会社が認めず、社員に自宅待機を命じる場合もある。この場合、会社が就労できない状態を回避する努力を最大限尽くしたとはいえないため、休業手当の支払いが必要とされている。

 ④社員の同居家族が感染したり、濃厚接触者となった場合――社員は「濃厚接触者」とみなされ、保健所から一定期間の自宅待機を要請される。この場合も、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、休業手当の支払いは必要ないと考えられる。

 このほか、感染者や感染の疑われる自宅待機社員の復職や、感染した社員に対する労災認定についても対応方法を決めておく必要がある。

 ウィズコロナは手探りな面が多く、それぞれの企業や個人に応じた判断が求められる。

 このようなときこそ必要とされる社労士でありたいと思う。

 

 

 

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