現在、介護業界の企業や施設では慢性的な人材不足に悩んでいます。
日本では高齢化社会が進み「2025年問題」「2035年問題」と国を主体として社会問題として盛んに提起されています。特に介護業界では人手不足によるサービス低下や労働環境の悪化による離職率の上昇経営状態の悪化が危惧されています。「求人募集をしても人が集まらない」、「雇ってもすぐに離職して人材が育たない」などという声は各所から聞こえてきます。
本記事では、その中でも介護業界にて「特定技能外国人」として働く人材にスポットを当ててご紹介いたします。
===この記事でわかること==========
・介護業界の慢性的な人手不足
・介護業界で採用増える特定技能「介護」とは?
・外国人労働者の課題「ビザ」取得に掛かる要件
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介護業界の慢性的な人手不足
高齢化が進む一方で必要とされるのはもちろん介護ですね。しかし多くの介護施設は、人手不足で理想の介護が出来にくい状況となっております。
統計では介護サービスに従事する従業員の人材不足感は、介護業界全体で平成27年の61.3%より平成30年の67.2%で5.9%上昇しております。(令和1年では65.3%と若干上昇基調を止めましたが以前高い水準となります。)
出典:(公益財団法人介護労働安定センター令和元年度「介護労働実態調査」の結果
業界の人手不足は深刻で、一般企業の有効求人倍率は平均1.38倍となりますが、介護業界では平均3.80倍と高い水準です。
出典:介護人材の確保・介護現場の革新資料(厚生労働省老健局)
これまでに介護分野は、「在留資格の介護」、「技能実習の介護」、「特定活動EPA介護福祉士」という3種の外国人在留資格で受け入れを行ってきました。しかしながら、これらの本来の趣旨は介護人材の確保を目的とするのではなく技能移転や経済関係の強化を趣旨としております。目的は様々ですが、結果的に人材確保に一定の効果を発揮できているのは実情です。
介護業界で採用増える特定技能「介護」とは?
外国人を介護業界で採用する事は、当初意思疎通の面などで戸惑う面もありましたが、少しずつ受け入れ側の周知が進み、外国人採用を積極的に行う介護施設も増えてきました。
そして更なる高齢化に伴う人材不足対策として2019年4月に介護分野を含めて、14の業種で特定技能が指定されました。特定技能「介護」とは、このように人手不足対策で設立された新たな資格となります。
外国人労働者の課題「ビザ」に掛かる要件
「在留資格の介護」、「技能実習の介護」「特定活動EPA介護福祉士」などの介護資格と特定技能「介護」の大きな違いは、ビザ所得に掛かる制限と個人負担の低さに合わせ、最低賃金の待遇の差にあります。
特定技能「介護」のメリット
2019年4月に入管法が改正され、新しい在留区分です。
・ビザ取得に掛かる要件が比較的低い
「日本語能力試験N4以上」「介護技能評価試験」「介護日本語評価試験」の3種
・そして給与体系は日本人同等という特徴があります。
在留資格「介護」
外国人が介護福祉士(国家資格)として日本で働くために、2017年9月に入管法に設けられた就労ビザの一つで、国家資格 介護福祉士の合格が必須となります。日本語能力も試験N3レベルの語学が実際は必要と言われております。介護福祉士の養成校を卒業した外国人でも、合格率は38%となり非常に難関となっています。
公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会令和3年3月卒業生進路調査報告調べ
「技能実習」では
「日本語能力試験N4以上」と敷居は低い感がしますが、あくまでも開発途上国等の人材の育成を行うための実習であり、就労を目的としない制度のため最低賃金での雇用となります。また、実習期間は最長3年間という期間が定められていることの他に受け入れまでに一定のルールがあり事前申請が必要となります。
「特定活動EPA介護福祉士」では
まず「特定活動EPA介護福祉士候補者」としてベトナム・インドネシア・フィリピンの3か国で候補者となり、各国で約1年以上の研修を行ってからでしか日本で受け入れられることはありません。
このように取得に伴い、比較的ハードルが低いにもかかわらず給与体系は日本人同等に保証されているのが特定技能の魅力ですね。「特定技能」は、日本で働きたい外国人と雇用不足を解消したい日本との架け橋になっております。
介護業界で採用される特定技能についてのまとめ
慢性的に人手不足となっている介護業界ですが、特定技能「介護」の資格設立で外国人を介護業界にて積極的に起用を行い、人材不足を補う取り組みを行っています。
このような背景の中、2021年11月17日の日本経済新聞にこのような記事がありました。
【外国人就労「無期限」に 熟練者対象、農業など全分野】
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE019ZY0R00C21A9000000/)
“出入国在留管理庁が人手不足の深刻な業種14分野で定めている外国人の在留資格「特定技能」について、2022年度にも事実上、在留期限をなくす方向で調整していることが17日、入管関係者への取材で分かった。熟練した技能があれば在留資格を何度でも
更新可能で、家族の帯同も認める。これまでの対象は建設など2分野だけだったが、農業・製造・サービスなど様々な業種に広げる。”
実質確定路線にて特定技能で在留期限をなくす方向であるとの記事です。この内容は日本で介護職に従事する方々や、高齢化でご家族に不安を覚えている方々にとっては非常に前向きな内容となっております。
外国人だから簡単な仕事しか任せられないというイメージは、もう過去の話しです。