社労士が解説する178万円まで働いて大丈夫? 2026年の扶養と手取りをケース別に比較
2026年11月1日現在
「178万円までなら、扶養を外れずに働けるんですよね」。年末のシフトを決める前に、この点は確認が必要です。178万円は一定の条件で本人に所得税がかからない給与収入の目安であり、社会保険の扶養の上限ではありません。 年収が178万円以下でも、勤務条件によっては健康保険・厚生年金保険への加入が必要です。[1][3]
この記事では、会社員の配偶者として健康保険の扶養に入っている、主に20歳以上60歳未満のパートの方を想定します。税金と社会保険を分けて確認し、保険料が受取額にどう影響するかを比較します。
最初に区別したい178万円と130万円と週20時間
同じ「壁」でも、確認している制度が異なります。
| 基準 | 何を判断するか | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 178万円以下 | 本人の所得税 | 2026年分。給与収入のみで、ほかに所得がない等の前提 |
| 130万円未満 | 配偶者の健康保険の被扶養者認定 | 今後の年間収入見込み、生計維持関係等。本人の加入義務を先に確認 |
| 週20時間以上 | 勤務先の社会保険への加入 | 対象企業の規模、学生かどうか、雇用見込み等も確認 |
会社から支給される家族手当・配偶者手当にも独自の条件があります。税金や健康保険の制度が変わっても、会社の手当の条件まで自動的に変わるわけではありません。給与規程や支給基準も併せて確認しましょう。
2026年分の所得税は178万円が一つの目安
国税庁は、2026年分について、給与収入が178万円以下でほかに所得がない場合、本人に所得税がかからないと説明しています。給与所得控除74万円と基礎控除104万円を組み合わせた基準です。改正は原則として2026年12月1日施行で、2026年分から適用されます。11月までの毎月の源泉徴収事務は変更せず、12月の年末調整などで反映します。[1][2]
ただし、住民税の非課税基準は所得税と異なります。また、配偶者控除・配偶者特別控除は、控除を受ける家族側の所得等も含めた別の判定です。「自分の所得税がゼロ」であっても、「世帯全体の税負担や手当が変わらない」とは限りません。副業など給与以外の所得がある場合も確認が必要です。[1][9]
106万円の賃金要件がなくなっても社会保険の加入判定は必要
2026年10月1日、短時間労働者の社会保険加入条件のうち、月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃されました。従来の「106万円を超えないようにする」という考え方だけでは、加入対象かどうかを判断できません。[3]
2026年11月時点では、通常の労働者の4分の3基準を満たさない方でも、例えば厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上の企業等で、週の所定労働時間が20時間以上、学生ではなく、2か月を超えて雇用される見込みがある場合には、原則として加入対象となります。「51人」は単純な全従業員数ではなく、所定の被保険者数による判定です。[4][10]
50人以下の企業でも、任意に適用拡大している場合等があります。また、通常の労働者に比べ、週の所定労働時間と月の所定労働日数がともに4分の3以上であれば、別の基準で加入対象になります。本人に加入義務があるときは、扶養を希望していても自由に加入を見送ることはできません。最低賃金の減額特例対象者などには例外があるため、該当者は個別に確認します。
130万円は12月までの合計だけで判断しない
健康保険の被扶養者認定では、原則として今後の年間収入見込みなどを確認します。「今年の1月から12月の合計が130万円未満なら大丈夫」とは限りません。60歳以上の方や一定の障害のある方等は別の収入基準です。[5]
2026年4月以降は、給与収入のみで他の収入が見込まれない場合などに、労働条件通知書等の契約内容から年間収入を判定する取扱いも始まっています。諸手当や賞与も確認対象で、契約期間や勤務時間・手当の記載等により、この方法を使えないことがあります。残業が一時的に増えた場合の取扱いも含め、加入先の保険者に確認してください。
年収129万円と150万円と178万円の保険料負担を比較
手取りの違いを考えるため、まず保険料だけを切り出して比較します。次の表は、35歳、賞与・通勤手当等なし、給与を毎月均等に支給するモデルです。129万円は週20時間未満等で本人に社会保険の加入義務がなく、配偶者の被扶養者等として認定され、雇用保険にも未加入と仮定します。150万円・178万円は勤務先で健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入する前提です。
年収別の保険料控除後の比較モデル 金額は概算
年収別の保険料控除後の比較モデル(金額は概算)
| 給与年収 | 加入の前提 | 本人の年間保険料 | 保険料控除後の比較額 |
|---|---|---|---|
| 129万円 | 配偶者の扶養等 | 0円 | 129万円 |
| 150万円 | 勤務先で加入 | 約22万2,000円 | 約127万8,000円 |
| 178万円 | 勤務先で加入 | 約26万4,000円 | 約151万6,000円 |
※比較額は、所得税・住民税などを差し引いた実際の手取り額ではありません。計算の前提条件は、本文の説明をご確認ください。
所得税・住民税、勤務先の家族手当の変化、保育料等は含めていません。2026年11月時点の協会けんぽ東京支部の保険料率等を12か月分に当てはめた比較モデルで、2026年1~12月の保険料を再現したものではありません。[7][8]
健康保険9.85%、子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金18.3%の各折半額と、一般の事業の雇用保険本人負担0.5%で計算しています。標準報酬月額は年収150万円で12万6,000円、178万円で15万円とし、端数処理前の年額を基に千円単位で概算表示しています。介護保険料は含みません。[7][8]
この条件では、129万円から150万円へ給与を増やしても、保険料控除後の比較額は一時的に小さくなります。一方、178万円まで増やすと比較額は大きくなります。ただし、全国共通の「損益分岐点」を示す表ではありません。加入先・年齢・家族手当等で結果が変わり、社会保険加入に伴う保障や将来の年金も併せて考える必要があります。
よくある質問
130万円未満なら週20時間以上働いても扶養のままでよいですか
勤務先での社会保険加入条件を満たせば、年収130万円未満でも原則として本人の加入が必要です。130万円だけで判断せず、勤務時間と企業の適用状況を先に確認してください。[3][4]
年末にシフトを減らせば扶養の問題を解決できますか
必ず解決できるとは限りません。税金は年単位の所得を確認しますが、健康保険の扶養は今後の収入見込み等で判定します。すでに本人の社会保険加入条件を満たしていた場合も、年末の調整だけで過去の加入義務がなくなるわけではありません。[4][5]
扶養と勤務時間の説明でお困りの会社さまへ
イイズカ事務所では、社会保険の加入判定、労働条件通知書の確認、給与計算や従業員向けの説明資料の整備についてご相談を承ります。会社の適用状況と各従業員の勤務条件を確認し、手続きと案内を整理します。個別の税務判断・税額計算は、税理士等への確認事項を明確にして進めます。
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出典と参考資料
[1] 国税庁 No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか
[2] 国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
[3] 日本年金機構 2026年10月の短時間労働者に係る賃金要件撤廃
[4] 日本年金機構 短時間労働者の被保険者資格の取得要件
[5] 日本年金機構 家族を被扶養者にするときの手続き
[6] 日本年金機構 労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱い
[7] 全国健康保険協会 令和8年度 東京支部の保険料額表
[8] 厚生労働省 雇用保険料率について
[9] 国税庁 家族と税
[10] 日本年金機構 適用事業所と被保険者



































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