大まかな流れ
人への投資促進コースの申請は、計画を立てるところから始まります。大まかな流れは次のとおりです。
1)事業内計画の作成、職業能力開発推進者の選出
2)労働局への計画届の提出
3)制度の導入
(自発的職業能力開発訓練、長期教育訓練休暇等制度※)
4)教育訓練の実施/制度の適用
5)支給申請書類の提出
※印に関して、自発的職業能力開発訓練の場合は計画届の提出前に制度を導入している必要があります。
一方、長期教育訓練休暇等制度の場合は、計画提出後に制度を導入することとなります。
それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。
1)事業内計画の作成
まずは、従業員の職業能力の開発を段階的に行うための「事業内職業能力開発計画」を作成します。記載内容や様式に指定はありません。
自社が必要とする人材像を明確にし、どんなスキルを身に付ける必要があるか、そのためにどのような教育訓練を受けさせるべきかなどを明らかにしていきます。
社内で教育訓練の取り組みの軸となる「職業能力開発推進者」も決めてください。
2)計画届の申請
訓練を始める日から起算して1カ月前までに、管轄の労働局に必要書類を揃えて提出しなくてはなりません。
提出書類は教育訓練の種類などにより異なります。ここでは共通する主なものを紹介します。
訓練実施計画書(様式第1号)
年間職業能力開発計画(様式第3-1号)
訓練別の対象者一覧(様式第4号)
事前確認書(様式第11号)
様式は厚労省の公式サイトからダウンロードが可能です(リンク先は下記)。
このほか、雇用保険の被保険者であることが確認できる書類やOFF-JTの実施内容が確認できる書類などの添付書類も必要です。どんな添付書類が必要かは、訓練の種類によって異なります。
人材開発支援助成金のページ|厚生労働省
3)制度の導入
「自発的職業能力開発訓練」と「長期教育訓練休暇等制度」の申請には、訓練・休暇の各制度について就業規則への規定が必要です。
また、導入のタイミングについては異なる要件があります。
自発的職業能力開発経費負担制度は計画届の提出前に定めること
長期教育訓練休暇等制度は支給申請時までに導入すること
規定した就業規則は、制度施行日までに全従業員への周知をし、管轄の労基署に届け出る必要もあります。
4)訓練の実施
事前に提出した「年間職業能力開発計画」に基づいて、それぞれの訓練を実施します。
長期教育訓練休暇等制度の場合は、「制度導入・適用計画届」に沿って制度を適用させます。規定の施行日から3年の間に、制度を利用して訓練を受けた被保険者が1人以上いなくては支給対象とはなりません。
提出済みの計画内容を変更する場合、たとえば対象者が変わる、増えるなどの場合には、「訓練実施計画変更届」や変更内容を反映した計画書を提出する必要があります。
変更届にも期限があり、期日までに変更届が出されていないと変更部分は不支給となるので注意してください。
5)支給申請書の提出
訓練が終わったら、支給申請書などの必要書類を管轄の労働局に提出します。提出期限は、訓練計画に記載の訓練終了日の翌日から2カ月以内です。
ただし、訓練内容によって起算日が異なる場合も。
たとえば休暇制度は休暇の最終取得日の翌日から2カ月以内、短時間勤務制度の場合は制度の最初の適用日の翌日から2カ月以内が申請期間となります。
支給申請に必要なのは、次のような書類です。
支給申請書(様式第5号)
支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
支払方法・受取人住所届
賃金助成・OJT実施助成の内訳(様式第6号)
経費助成の内訳(様式第7-1号)
OFF-JT実施状況報告書(様式第8-1号)
このほか、訓練経費の領収書や訓練中の賃金台帳、就業規則、出勤簿など、実施する訓練や導入する制度、状況によってさまざまに異なる書類が必要です。
生産性要件を満たした場合には、生産性要件算定シートや損益計算書、総勘定元帳なども提出しなくてはなりません。
場合によっては、20種類以上の書類を要する場合もあります。漏れがないよう、事前に必ず確認しましょう。
人への投資促進コース申請時のポイント
助成金のスムーズな受け取りには、押さえておくべきポイントもあります。
高度デジタル人材訓練や成長分野等人材訓練では、受験料も助成金の支給対象となる
事業外訓練の場合は、訓練機関による支給申請承諾書の提出も必要
定額制訓練の申請は、ほかの事業所で同様の申請をしていないか要確認